生きている今・・・

 手のひらではなく、手の甲を見つめていると、

あまりに皺だらけで、老人になってしまったことを

思わないではいられない。

 それはそれで自然なことだとは思うけれど、やっぱり

何をしてここまで歩いてきたのかなと思ってしまう。

そればかりではない。もう、時間は戻っては来ないのだと、

寂しいような思いも、心をよぎる。

 いよいよ、命を終える日が来るという自覚が、現実味を

帯びてきたということなのだろう。それは、今日まで二度も

乳癌になった経験をしたが、あの時の感じとも違うものだ。

 もちろん後ろ向きの話ではないが、様々なことについて、

「意欲」が薄らいでいっているのは確かなこと。その一方で、

次世代につなげるという何かを、口先ばかりではなく、

具体化していくことが求められているということなのだ。

 これは、面白いことになってきたなと思う。自分の人生の

途中経過を自分自身で再認識することができるという経験を

今、私はしているということだ。

 思い返せば、私はいつもそんなことがやれたように思う。

これは、それなりに特異な能力かもしれないと、一人で勝手に

思ったりしているところだ。

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